DIYでもできる!アルマイト処理の特徴と方法について
アルミニウム金属を加工して色々なものに利用しようと考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしアルミニウムは空気中の酸素の結合することで酸化しやすくなり、腐食します。そのため、アルミニウムを長持ちさせるためにはアルマイト処理が必要です。
今回の記事では、アルマイト処理について解説していきますので、アルミニウム金属を加工したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
1.アルマイト処理とはどういうものか?
アルマイト処理というものは、1929年に開発され1931年に日本で生まれた処理方法です。アルミニウムの陽極で電解処理してアルミ酸化を進め、アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させます。この処理をすることで、アルミニウム皮膜を酸化から保護し、腐食からアルミニウムを守ります。
アルマイト処理には耐食性以外の効果もありますので、以下でご紹介していきましょう。
1-1.アルマイト処理の効果1.合金として強くなる
アルミニウムの硬さは硬度20~150といわれており、そこまで強い合金ではありません。しかしアルマイト処理をすることで、硬度200~600程までに強くすることが可能です。
腐食の原因となるH2OやO2、化学物質からアルミニウムを守るだけでなく封孔の効果もあります。この封孔処理がなされることで表面部分の腐食性が上がるだけでなく、染色もしやすくなります。
1-2.アルマイト処理の効果2.熱の放出効率がよくなる
アルミニウムは熱伝導率が高く、耐熱性もあります。アルマイト処理を行うと熱伝導率が半分以下になり、放熱効果が強くなります。
一方で耐熱性は弱くなり、100℃を超えるとひび割れやアルマイト被膜が剥がれ落ちたりするなどのトラブルが発生しやすいです。また、アルミニウムにあった柔軟性が失われるため、引っ張ったりすると割れやすいのもアルマイト処理済みのアルミニウムの特徴です。
1-3.アルマイト処理の効果3.絶縁性
アルミニウム自体には導電性があり、電気を通しやすく電池として利用されています。しかしアルマイト処理をすることで電気を通さなくなり、絶縁体として利用されるようになります。
2.アルマイト処理の主な利用目的
アルマイト処理を施したアルミニウムは、弁当箱や鍋などの家庭用品に多く使用されます。他にも建材・光学部品・自動車部品・半導体と幅広く利用されています。部品の使い方や皮膜の仕様なども使い方に合わせて処理ができるのも大きな特徴の一つです。
3.アルマイト処理の方法
アルマイト処理は工業的に実施されていることが多いです。もちろん工業的な方法で行う場合、大規模になりますが、少量ならDIYでできます。
ホームセンターで入手できる材料で、個人で実施する方法を解説していきます。
3-1.アルマイト処理をDIYする方法1.アルミニウム表面の異物の除去
アルミニウムの表面には、O2とH2Oで酸化した酸化被膜が存在します。そのため、まずは酸化した表面をアルカリ性溶液に浸けて除去する必要があります。ホームセンターにある苛性ソーダなどの強アルカリ性薬品で代用可能です。
アルマイト処理を行うアルミニウムを水洗いして表面の汚れを落としたら、強アルカリ性溶液に漬けましょう。
3-2.アルマイト処理をDIYする方法2.変色した金属を洗い落とす
強アルカリ性溶液からアルミニウムの合金を取り除くと、アルミニウムは黒く変色している可能性があります。これはアルミニウムに付着した金属が原因となっています。
このスマッシュと呼ばれる金属をサンポールなどの界面活性剤で取り除きましょう。界面活性剤でとり切れない細かい所は、歯ブラシで磨き落とすことが可能です。
3-3.アルマイト処理をDIYする方法3.洗浄済みアルミニウムのアルマイト処理
アルミ線をつないで処理したいアルミニウムを通電させると、アルマイト処理を施せます。アルマイト処理のコツはしっかりとアルミ線とアルミニウム、アルミ線と電極版をしっかり結ぶことです。その後は市販の電解液の中にいれて電源などを使って通電させれば、アルマイト処理が完了します。
アルマイト処理は作業中に刺激臭がするので、部屋の換気を最低30分以上行ってください。体調が悪化した場合は、必ず専門医に見てもらいましょう。
3-4.アルマイト処理をDIYする方法4.処理済みのアルミニウムの封孔処理
アルマイト処理をすると、アルミニウムに肉眼では確認できない孔ができます。その孔を封じるために封孔処理をする必要があります。
封孔処理はDIYで行う場合、非常に簡単で、鍋で煮込むだけです。基本的に中性になっている水道水で煮込むことにより、封孔が完了します。
染色したい場合は封孔処理をする前にアルミニウムを染料に漬けておけば、簡単に染色できます。
4.メッキ処理とアルマイト処理の違い
メッキとアルマイト処理は似ているように感じるかもしれませんが、全く違います。メッキは金属の表面に別の金属をのせていく方法となります。そのため、表面部分は滑らかで加工が楽です。
一方でアルマイト処理はアルミニウム表面に膜を作る方法となるため、表面部分がデコボコしていると、処理後の表面もデコボコが残ってしまいます。したがって、事前にアルミニウムの表面を滑らかにしておかないと再度アルマイト処理をする必要が出てしまうので、DIYで実施する際には注意です。
5.まとめ
アルマイト処理はDIYでも行えますが、アルミニウムだからとなんでもアルマイト処理する必要はありません。必ず用途を計画した上でアルマイト処理をすることが大切です。DIYで行う場合はアルミ製品の保護を目的として、見た目を綺麗に整えながら処理を実施しましょう。
「株式会社MST Holdings」は、溶接から加工まで対応する専門業者です。アルマイト処理は、カラーアルマイトと呼ばれる塗装方法で染色しながら加工します。この加工方法は染色したアルミニウムがはがれにくくなるという特徴をもっています。色落ちを回避したい方におすすめの染色加工方法です。お問い合わせはメールで承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。