ハステロイ加工ってどんな金属を使うの?難削材加工のポイントも解説
ハステロイは、難削材の一種で合金でもあり、加工が行いにくいといわれています。しかし、耐熱性と耐食性に優れているため、特殊な環境下でも使えることからニーズは高まっています。ハステロイの加工を業者に依頼する場合は、高い材料でもあるので、失敗しないよう、信頼のおける業者に任せるのがおすすめです。
1.ハステロイは合金の一種
ハステロイは、難削材の一種でもあり、耐熱・耐食合金の商標です。金属のニッケルが主体となっており、モリブデンやクロムなどの合金素材を加えています。そのため、耐熱性と耐食性に優れた合金としても有名です。
ただし、高温強度が大きいことと加工軟化が起きやすい点、工具材料の親和性が高く熱伝導率が悪い点、加工がしにくい点などは欠点といえるでしょう。
1-1.ハステロイBの特徴
ハステロイBの特徴は、モリブデンが約30%、鉄が約5%使われている点、非酸化性に優れている点が挙げられます。沸騰塩酸はもちろん、非酸化性の酸や塩類に非常に強いため、腐食しにくい点が魅力です。
また、高温下でも耐食性が失われにくい側面があるため、何種類かシリーズが存在します。海水から生じる水や塩にも強いため、金型に使用されることも多いでしょう。
1-2.ハステロイCの特徴
ハステロイCの特徴は、Ni-Cr-Mo系統の合金にタングステンが加わっている点が挙げられます。同じ合金の中でも耐食性に優れており、還元性や酸化性(硝酸や塩素など)両方の腐食環境下であっても、高い耐食性を保ちます。
また、局部腐食性にも非常に優れていますが、加工がしにくいところは欠点といえるでしょう。
2.ハステロイ加工のポイントはどこ?
ハステロイ加工は、超微粒子超硬合金がメインとなるため、エンドミル加工では工具選びにもポイントがあります。切れ刃の信頼性はもちろんのこと、切れ刃の塑性変形損傷が生じやすいため、工具の損傷にも気をつけないといけません。
また、加工硬化現象が起きやすいので、軟化が起きてしまうと、ダイレクトに刃の損傷につながります。そのため、工具の摩耗がまだ軽微なうちに、工具を交換するようにしましょう。
2-1.難削材のニーズは上昇?
ハステロイも難削材に分類されますが、同じ難削材の「チタン」や「インコネル」などのニーズも上昇しています。難削材は材料単価が高いことでも有名で、使われる場面も限定されていますが、難削材のニーズが上昇している理由は、特殊な液体や特殊な環境下での作業が増えているからです。
たとえば、エネルギー関連の設備などは高温に耐えうる材料が必要で、粉体機械や医薬品機械にも難削材の耐久度は魅力的です。特殊な環境でも使える素材として、これからもニーズは高まると予想されます。
3.ハステロイ加工に使われる機械
ハステロイの加工にはいくつかの種類があり、代表的なものに「マシニング加工」「旋盤加工」「切断加工」などがあります。ハステロイは難削材に分類されるため、それに対応した設備が必要です。
代表的な機械と加工について知っておけば、ハステロイの加工の目的もわかるでしょう。
3-1.①マシニング加工
マシニング加工とは、マシニングセンタを使った加工で、自動で工具を交換できる機械として有名です。「せっかくハステロイを手に入れても、加工が大変だった」「加工ミスで材料費が赤字になった」など、失敗を防ぐためにも、マシニング加工は大変便利です。マシニングはプログラムに沿って加工するため、失敗の少ないマシンとしても知られています。
3-2.②切断加工
切断加工には、「プラズマ切断」「レーザー切断」「ノコ切断」「ウォータージェット切断」など、いくつかの種類があります。ハステロイは難削材でもあるため、切断方法によって材料費が変動します。ハステロイは高い材料なので、失敗しないためにも加工方法の選定が重要です。
3-3.③旋盤加工
ハステロイに関わらず、荒加工は汎用旋盤が得意とする分野です。ただし、NC旋盤を利用した場合、機械の精度が落ちてしまうので注意しなくてはいけません。ハステロイは材料費が高額なため、失敗を防ぐためにも、大型汎用旋盤の導入がおすすめです。
4ハステロイの加工事例
ハステロイは難削材の一種であるため、加工が非常に難しい合金の1つです。ただし、時代のニーズに合わせて加工事例が増えており、より安く高品質な加工品も手に入るようになりました。
ここからは、ハステロイの加工事例をいくつかご紹介します。
4-1.加工①精密板金
ハステロイにはいくつかの種類がありますが、一般的にはハステロイCが使われます。ハステロイの精密板金加工の例としては、「レーザー加工」「ワイヤーカット加工」「エッチング加工」「プレス加工」などがあり、高精度の加工が可能です。
4-2.加工②溶接
ハステロイは溶接も可能で、「Tig溶接」を行うことが多いです。具体的には、SUS304とハステロイの溶接加工などが可能です。
ただし、異種金属の溶接に関しては、失敗すると割れてしまう危険性があります。もし異種金属の溶接をしたいなら、専門の業者におまかせしましょう。
4-3加工③ワイヤーカット
ハステロイのワイヤーカットも非常に技術が要求されますが、スタート穴をあける細穴放電加工がとくに大変です。逆にいえば、スタート穴さえあけてしまえば、加工も簡単に終わります。
5.まとめ
今回の記事では、ハステロイがどんな金属で、どんな加工法があるのかなど、少しでも疑問が解消されたのではないでしょうか。ハステロイは合金の一種で、難削材にも指定されているので、どこの会社でも加工できるわけではありません。
ただし、耐食性や耐熱性に優れた合金でもあるので、ニーズは高まる傾向にあります。もしハステロイの加工業者で悩んだときは、ぜひ「株式会社MST Holdings」にご相談ください。とくに溶接技術には定評がありますので、加工のお手伝いも可能です。